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白斑相談室長の挨拶

ストレスがメラノサイトを攻撃する元凶

メラノサイト 「現在はストレス社会」とよく言われますが、ストレスには外からの刺激を受ける『身体的ストレス』と心理的な要因が原因の『精神的ストレス』に分けられます。

私たちは、社会生活をしていくうえで様々なストレスにさらされるのは当然のことですが、ストレス状態が過剰で尚かつ長期間に及ぶと身体的な影響が出てきます。

後天的に生じる白斑患者の生活状況をみると、かなりの確率で何らかのストレスを感じている方が多いこと、そんなことからストレスが引き起こす脳神経系の反応から内分泌系・免疫系に及ぼす影響を探っていきたいと思います。

メラノサイト(色素細胞)が攻撃される過程を簡単に説明すると、ストレスを感じるとまず脳内で作り出される物質が内分泌や免疫細胞に影響を及ぼし、過剰に分泌されるホルモンの影響で自律神経が乱れ、免疫細胞のバランスが崩れメラノサイトを攻撃する組織傷害が起こり尋常性白斑を発症します。

それでは、メラノサイトを攻撃する免疫細胞の働きを調整するだけで、尋常性白斑が改善するのではと考えてしまいますが、ストレスを受けた時、脳神経系・内分泌系・免疫系の3つの連帯が働いてこそ平衡が保たれ、どれか一つでも異常をきたすと脳神経・内分泌・免疫の働きがすべて狂ってしまうのです。
脳神経・内分泌・免疫の働き

● ストレスを受けた時の一連の流れ ●

Th1・Th2 ストレスを受けると脳(大脳辺縁系)が感知し不快のシグナルを視床下部に送り、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)を放出、脳下垂体に働きかけ、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され副腎皮質からはコルチゾールが視床下部に分泌し免疫応答の刺激をします。

また、他方で視床下部は自律神経系に作用して副腎随質からアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌し交感神経を活発に働かせ緊張状態になり不安・怒り・恐怖などの情動を感じます。

メラニンを形成する過程には、視床下部のホルモン[副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)とメラニン細胞刺激ホルモン放出ホルモン(MRH)]が脳下垂体に送られ脳下垂体中葉ホルモン[メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)とγ-リポトロビン(LPH)]を放出されメラニン形成促進します。 また、メラニン生成の原料であるアミノ酸のチロシンから特にチロシナーゼ酵素などが作用しメラニンを形成する。

メラノサイトを攻撃する働きだけを抑制しても根本的な解決にはならず、チロシンからメラニンに変換する為の酵素の異常があってもメラニンは合成できません。

つまり、免疫細胞の調整とメラニンを作る体内の環境がそろって初めて尋常性白斑が改善していくのです。

ストレスを受け交感神経が優位になるとホルモンとは別に免疫細胞はサイトカイン(免疫系の細胞が産生するタンパク質、インターロイキン:IL・インターフェロン:IFN・腫瘍壊死因子:TNFなど)を分泌し単球・顆粒球・リンパ球を活性します。

白斑を起こす原因に自己免疫の異常がかかわっている

尋常性白斑を発症している患者さんの30%位に自己免疫抗体(サイログロブリン・副腎細胞・壁細胞に対する抗体)や自己免疫性内分泌障害(悪性貧血・甲状腺機能異常)を合併することが有ることからも、尋常性白斑と自己免疫疾患との関連性は否定できない。

免疫細胞の中でもT細胞・B細胞の調節機構にサイトカインが関わっており、サイトカインがT細胞にどう働くかを次に説明します。 T細胞の中にはヘルパーT細胞・キラーT細胞・サプレッサーT細胞の3種類があり特にヘルパーT細胞の働きが免疫異常を発生させるうえで大事です。
さらにヘルパーT細胞(Th)にはTh1とTh2の二種類があり様々なサイトカインを作り出し、これらの細胞は互いに調整しあってバランスを保ち免疫異常を起こさないようにしています。
また、最近の説では、別のヘルパーT細胞(Th17)が関わっているのではないかとの説もあり、白斑を起こしている患部にTh17が浸潤して色素や色素を合成する細胞に対して炎症を引き起こさせているのではないかともいわれています。
2種類のヘルパーT細胞

Th1細胞に偏った働きがメラノサイトを攻撃

ストレスが白斑を起こす元凶 Th1が優位になると主にIL2・IFN-γ・TNF-βなどのサイトカインが産生されB細胞を活性し抗体産生(IgG)をし、さらにキラーT細胞やマクロファージがメラノサイトを攻撃します。

IL2が多く産生するとキラーT細胞の活性化B細胞増殖亢進
IFNが多く産生するとIgGの受容体の発現増加
TNFが多く産生するとT細胞増殖とリンホカインの分泌、B細胞の増殖など

逆にTh2が優位になるとIL4・IL5・IL6・IL10を産生しB細胞に(IgE)
抗体を作らせアレルギー反応を引き起こしてしまいます。
また、調節性T細胞は免疫活動が働きすぎないようにする抑制する働きがあり、調節性T細胞の抑制が効かない時も免疫は異常に働きます。

メラノサイトを攻撃しているのはTh1細胞側に傾きすぎて、Th2細胞が対抗出来ないからだと考えられ、Th1とTh2の調整がとれると自ずとメラノサイトも攻撃されません。

いくつものストレスが重なり合い免疫機構が崩れる

本来はストレスを感じると回避するための反応として脳神経系・内分泌系・免疫系の働きが互いに連携して助け合い生体反応の乱れは起こりません。

尋常性白斑がストレスの原因と一言に言っても、一般的に連想される精神的なストレス以外にも、物理的(寒暖差や気圧差)・環境的(雑音やほこり)・肉体的(ケガ・病気や長時間労働など)・科学的(空気や食品汚染)・生物的(ウイルスや細菌など)と様々なストレスがあります。

例えば、精神的ストレスだけでなく物理的・肉体的・生物的ストレスと幾つも重なることで免疫細胞が異常に働きやすくなり、メラノサイト(色素細胞)の働きを阻害してしまうのです。

ストレスと免疫は密接な関係であることはお分かり戴けたかと思いますが、私たちは日常生活を送っていく中でストレスを感じない生活はあり得ません。

問題は過剰なストレス状況下で生体反応に異常が起きることで、元に戻す生体反応が働けば尋常性白斑を起こす免疫異常は起きないのです。
(武西貴弘)

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